まんせいようつうしょう

慢性腰痛症

最終更新日:
2024年05月23日
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2024/05/23
更新しました
2021/03/08
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概要

慢性腰痛症とは、腰の痛みが3か月以上続いている状態を指します。腰痛は発症からの期間に応じて、急性腰痛症(発症後1か月以内)、亜急性腰痛症(1~3か月)、慢性腰痛症(3か月以上)に分けられます。

厚生労働省の2022(令和4)年国民生活基礎調査によると、日本人の自覚症状のうち、腰痛は男女ともに1位であることがわかります。また、生涯で腰痛を経験する人は8割以上にのぼるといわれています。

慢性腰痛症の原因には骨や関節などの病気が関わっていることもありますが、検査をしてもはっきりとした異常が見つからないことも少なくありません。治療としては薬物療法とリハビリテーションが中心となります。腰に負担がかかる姿勢を避けるなど日常生活上の工夫やストレスなどの心理的要因を解消することも重要です。

原因

慢性腰痛症の原因となる主な病気に、腰部椎間板(ようぶついかんばん)ヘルニア、椎間関節症、変形性脊椎症腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)骨粗しょう症などがあります。まれに内臓疾患や腫瘍(しゅよう)によって慢性腰痛症を発症する場合もあります。このように検査で原因が特定できる腰痛を特異的腰痛といいます。

一方で、検査を行っても原因が特定できない腰痛を非特異的腰痛といい、慢性腰痛症では比較的多いといわれています。その原因として、家事や仕事などで前かがみになって腰に負担がかかる姿勢をとり続けていること、痛みやその不安から体を動かさず不自然な姿勢になっていること、神経が過敏になっていることなどが考えられます。また、ストレスや抑うつなどの心理的要因が腰痛の慢性化を招くこともあります。

症状

急性腰痛症では腰に激しい痛みが生じ、痛みのために腰を前後に曲げることが難しくなりますが、ほとんどの場合1週間以内に痛みが治まります。

慢性腰痛症は、急性腰痛症よりも痛みは弱く、腰全体の鈍痛や重だるさが続くことが特徴です。お尻や足に広がる痛みやしびれを伴うこともあります。

検査・診断

まず問診や身体検査を行い、必要に応じてX線検査やMRI検査などの画像検査で腰痛の原因となる病気があるか調べます。さらに詳しく調べるために、脊髄(せきずい)造影や椎間板造影、筋電図検査などの精密検査を行うこともあります。原因にかかわらず、腰痛が3か月以上続いている場合に慢性腰痛症と診断されます。

治療

病気が原因となっている場合、その病気に対する治療を優先して行います。

腰痛に対する治療としては、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)などの薬物療法やリハビリテーション、腰部の安静(コルセット)などの保存的療法を中心に行います。

原因が特定できない非特異的腰痛で、NSAIDsの内服で症状が改善しない場合、まれに抗うつ薬や抗てんかん薬、オピオイド鎮痛薬を追加することがあります。オピオイド鎮痛薬はモルヒネに代表される医療用麻薬で、がん治療でよく用いられます。慢性腰痛症でもほかの薬や治療法で効果が見られない場合に使用を検討します。

保存的療法で改善が見られないときや日常生活に大きな支障をきたしているときなどは、神経ブロック療法(ブロック注射)や、場合によっては手術を検討します。神経ブロック療法とは、腰の神経やその周辺に局所麻酔薬やステロイドを注射し、痛みの信号が脳に伝わるのを一時的に遮断する治療です。効果は一時的ですが、その間は痛みが軽減するため、痛みの悪循環を解消できることがあります。

ストレスなどの心理的要因に対しては、気持ちの持ち方や根本的な不満や不安の解消なども重要になるため、薬物療法に加えて認知行動療法*やカウンセリングを行うこともあります。

*認知行動療法:ものの考え方や受け取り方(認知)にはたらきかけて、気持ちを楽にしたり行動をコントロールしたりする治療方法。

予防

慢性腰痛症は、立ったり座ったりするときの姿勢が前かがみとなって腰に負担がかかり発症することも多いため、普段から腰に負担のかからない姿勢を心がけることが大切です。

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